オールナイト行った

10月10日(土)
のっけからヴェルナー・ネケスの異様な世界に圧倒された。
マゼンタ色っぽい古ぼけた映像と、アンソニー・ムーアの掴みどころのない音楽、それが映画館の暗闇の中で80分続く。なんじゃこりゃ、ってな感じだが、かなり興奮した。
イメフォのシネマテークでも上映するみたいです。フィルム・ビフォー・フィルムも必見。
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この日は夕方、そのシネマテークでも実験映画を観てきた。
このプログラムがとても充実の内容で、特に奥山順市とレン・ライの作品が素晴らしかった。
奥山さんのはしょっちゅう拝見してて、恐れ多いけど、自分のやっている事に結構近いというか、自分で思いついたアイデアを先にやっていたりするので、嫌になることもしばしば(笑)
「我が映画旋律」は、映像が音であり、音が映像である。通常フィルムのサウンドトラックは、フィルムの端っこ(映像部分の隣)に波形のような形で記録してあるのだが、この作品では、画像をその部分まではみ出させて、画像の模様をサウンドトラックとして再生してしまう。モノクロのゼブラや網目の模様、花など、画像によって様々な音が出ていた。花だからといって、花をイメージさせる音というわけではなく、基本的には荒々しいノイズである。それは映写機、映画の機構に依るものであるから。でも不思議と違和感がない。これは究極の映画音楽だと思う。
レン・ライの2作(1作は遺作)は、黒味のフィルムにスクラッチで模様をつけたアニメーション。サウンドはパーカスがチャカポコしてる民族音楽。文字や抽象的な模様のシンプルなスクラッチだけど、これは相当なテクニックがいると思うなあ。白い線が、とにかく魅力的な動きをしていた。

何となくだけど、2人に共通しているのは、原始的なダイナミズムが画面からほとばしっていること。手法やプロセスも考えると、身体表現だと思う。僕がフィルムを扱う理由はこれが大きい!!(アナログってそういうことだ。レコードに針を落とすのと、CDの再生ボタンを押すのは全く違うんだ。)

それで、前後するが、オールの前に飲んでいたせいもあってか、ネケスの後半は寝てしまいますた・・・。すると、突然こもった音の”Strawberry Fields forever”by beatles が流れてきて、いったい自分が何処にいるのかよく分からない状態になり、目を開けると、さっきまで観ていたような映像が流れていて、ああまだネケスか、と思っているうちに、音楽がサイン波に変わり、ああこれはもしやマイケル・スノウ?と思って、ぼんやり眺めていたら、固定のアングルでどんどんズームインしていくので、やっぱりスノウでした。あっという間に終わった。
この時点で1時だったか、その後5時間位、ちょこちょこ寝ながらも濃い映画体験が続いたのでした。終了後、沖縄出身の大城さんに「ちょっちゅね」(黒糖)をもらって、ああ沖縄行きたい、と思った。朝日が眩しかった。