何にでも当てはまることだが、保存環境は大事である。
フィルムは低温低湿で保存するのが大原則。
いい加減に扱うとどうなるか?
・カビの付着
・変色、退色
・膜面の接着
・ひび割れ、収縮
など、画質に大きく影響が及んでくる。
映画用フィルムの場合は映写が不可能になる可能性も。
「ビネガーシンドローム」
かっこいい名前だがこれが実に厄介だ。
撮影用フィルムに多く使われている、TACベース(アセテート)に特有の症状。
名前のとおり、酸っぱい臭いがする。高温多湿の環境下で加水分解が始まり、一度酢酸臭が出ると進行を止めることができない。ベースは大きく収縮・変形し、最終的にはゼラチンが溶けて画像が消失する。自己壊滅的である。さらに悪い事に、他のフィルムに感染する。もし症状が出たら、そのフィルムは隔離しないといけない。冷凍用のジッパーに詰め、吸湿・吸酸剤を入れておけば、進行を緩やかに出来るようだ。ちなみに乾燥しすぎるのも良くない。ひび割れや収縮の原因になる。
キープウェル(FUJIフィルムの吸湿剤)は適度な湿度を保ち、酸も吸収するので間違いない。どうしようもなくなる前に複製やビデオ化の検討も必要。
ここまで書くと、フィルムは面倒なやつだと思われるかもしれない。しかし、きちんと保存されたフィルムは、画質は完璧でないものの100年以上使用できる可能性がある。
では、デジタル記録媒体はどうか?