大衆

池袋のJR東口地上に出てすぐのところに、いつもツナマヨの匂いのする所がある。あれはなんだろう?

コンパクトデジカメを買おうと思って、家電屋さんでカタログをいくつかもらってきた。今のところ有力なのが、sonyの新しい2機種。値段もそこそこ手頃で、なにより最新のセンサーとエンジンを搭載しているので、暗いシーンでもストロボなしで低ノイズ高画質なのだ!悪い点をあげると、今多くのコンパクトデジカメで、ピントと露出がマニュアル設定できないところ。シーンやモード設定だけで、「誰でも簡単にキレイに」って訳だ。そういうもんだ。大衆が求めてるものなんだなあ。でもすごい技術だと思う。

大衆が求めている映画は他の多くの制作者に任せよう。俺は誰に向けて作る訳ではなく、未開の視覚体験を追求して自分の納得のいくものを作り続けたい。
かつて前衛とは縁の無かった大学生の俺が、ブラッケージの作品に出合い感銘を受け、新しい世界の見方を学んだのと同じく、何十億の人々の内の数人にとって、俺の作品がそういったきっかけになれば嬉しい。多くの人々に観てもらう機会を作る努力はしなくてはいけない。あっ、俺は、実は大衆に向けて作っているのではないか。そうかもしれない。しかし間違っても、大衆の求めているものは作っていない。

大衆映画を批判している訳ではない。自分の目指しているものと大衆映画は対極にあるのだ。ここはもう少しこうした方が皆に分かりやすいかな、とかそういう事を考えたらいつまでたっても新しい地平は切り開けないだろう。全ての劇映画作家が実際にはそんなこと考えている訳ではないのだろうけど、出来あがったものは大衆の求めているものと結果的にフィットする。俺は、大衆より遥か先を進まないといけないのだ。(ちなみに大衆酒場は好きだ。下町のホルモンは最高だ。ハイボールが恋しい。)

俺の作品を観て、何も思わなかったり、つまらないと思ったのなら、俺のフィルムに魅力が足りないか、あなたが狭い世界の人間であるか、ただそれだけの話だ。勿論、実は俺の方が狭い世界の人間だったという場合もありえる。

ところで、最近ケーブルのチャンネルnecoで「深夜特急」の再放送を見た。特に勧めないけど、すごくいい。

バックパッカーのバイブルと言われた沢木耕太郎のノンフィクション小説を、大沢たかお主演でテレビドラマ化したものである。テレビ版の撮影が97年で、26歳の沢木が実際に香港から東南アジアを経由して、インドから乗り合いバスでロンドンまで行ったのが、73年頃。時代が変わっても、一人旅の旅情は変わらない。主題歌の「積み荷のない船」(井上陽水)が沁みるなー。
メイキングを見ると、現地ロケが旅さながらのハードなものだったことが伺える。
大沢たかお、スタッフ共々、安宿に泊まり、3等列車や乗り合いバスで移動したようだ。これがとても功を奏したと思う。大沢たかおが徐々に旅慣れていくのが面白い。始めからそういう演出だったとしても、あんないい感じにならないだろう。
それにしてもこういうドラマって、思ってることを独り言のナレーションで説明してしまうパターンが多い。