GW

5.2
イメージフォーラムフェスティバルにて、ジョージ・ランドウの作品集を鑑賞。
1966年の「エッジレタリング、ゴミ、スプロケット穴などが現れるフィルム」はタイトルのまんま、画像が中心から外れて、通常は映写画面に出てこないフィルムを送る四角い穴、フィルムの端に印字された番号やゴミが投影される作品。今見ると目新しさは感じないが、映画の既成概念から逸脱したとても重要な作品だと思う。
film_in_which
フレーム(画像)がフィルムの一部であること、フィルムが物質であることをシンプルに提示する。フレーム内のコマが連続することによって作られる映像のイメージが宙に投げ出されたような感じ。サラダだと言われて、みずみずしいトマトが丸ごと出てきたような体験です。他のカットアップ作品もユーモアがあって素晴らしかった。

映画を見終わり、時間を潰すためにビール片手に渋谷を徘徊する。
こういうときにコンパクトデジカメが欲しい。

円山町周辺の怪しい一角に、高級そうなフレンチからカジュアルダイニング、大衆酒場まで様々なレベルの店があって意外に楽しい。店に入らないで外観とメニューだけで楽しめる。夜になって気温は下がっているのに、外国人がみんな半袖なのはどういうことだろう。中国人の客引きのお姉さんに必ず声をかけられるのは、私がスケベそうな顔をしているのか?通りを往復して同じお姉さんに再度声を掛けられるのはとても気まずい。
友人の到着を待ち、wombへ。

今夜は楽しみにしていた、kuniyuki takahashiとhenrik schwarzのライブ。
相性のいい組み合わせだと思う。kuniyukiのafrican peopleは奇麗なピアノと、生のアフリカンボイスとパーカスが響きあって最高だった。アフリカンと名のつくものは外れがないんじゃないか。henrikは自分の曲をラップトップでアレンジを加えてミックスして絶好調だった。あのはしゃぎっぷりは見ていて楽しい。

総じて低音が濁っていて、そこだけはがっかりした。
牛丼で〆て解散。

ライブ

ライブといっても、やってることが非常に地味だったので、果たしてあの映像がその場で生まれたものなのか、観客には分かりづらかったかも。しかも、映画の場合、音楽と違って出演者の演奏する姿ではなく、スクリーンを見る訳だから。後ろを振り返って見ても、やっぱり地味なので何をしているのかよく分からなかったのではと思います。
異臭や煙や映写機から異常な音が出たら面白いのかとも思いつつ。

ライブであろうと完成された作品であろうと、結局はスクリーンに映ったものが全てだと思うので、まあそこら辺はおまけの要素かと、現段階では考える。会場全体を作品とするようなパフォーマンスではないし。

音楽の平野氏が光センサーを使っていたのは、ラッキーというかよかった。画面の光に音が反応するので、今回自分が用意したフィルム素材の明暗のリズムを強調してくれていたと思う。
(生の16㎜フィルムに8mmや16㎜の断片を載せて露光して現像をしたフィルムを使った。写真で言うフォトグラムの手法。これを2mの長さに切って、頭とお尻をつなげて輪っかにしてループ再生。真っ黒な部分と画像が映っている部分があるので、リズムが生まれる。)
音と映像が全く分離されているのも面白いが、合っていればそれはそれでいいこともある。

海へ行きたい

surf
春の陽気に乗せられて、今年初”サーフ・ブレイク・フロム・ジャマイカ”。
このレコードは写真家・浅井慎平がジャマイカで1976年に録音した波音が延々と続くというもの。帯には「レコード界に脱音楽ブームを捲き起こし、世界的反響のうちに驚異的ベストセラーを続ける波音のレコード」と。

さて、19日のイベントでは16mmフィルムのライブ上映をします。
リアルタイムで物理的・化学的な処理を施します。
1回性のその場で作られる、ある意味、脱映画です。

silicon wafer

2009.4.19 (Sun.)
” silicon wafer ”
(エレクトロニクス制作講座 2周年記念イヴェント)
@loop-line 千駄ヶ谷
open/17:30 start/18:00 close/22:00
1500円(+1drink)

『エレクトロニクス』をキーワードに集まる音楽家、美術家等が、講座で制作した装置をそのまま使用、または改造使用、あるいは全く使用しないパフォーマンスナイト。作品展示もたぶんあります。エレクトロニクスに興味があっても、いまだに一歩が踏みだせない方は、必見ですぞ。講座の雰囲気が垣間見られるでしょう。
by 鈴木學(講師)

私は自作のエレクトロニクスは使いませんが、フィルムによるライブパフォーマンスを計画中です。あくまでも計画。
Performances of the artists taking a handmade electronics course at “loop-line” Tokyo. But I will not use the electronics except 16mm film projecter. At present , I’m planning to perform real time processing live using 16mm film.

出演出演者(出演順ではありません)
★藤田圭  ユニット f.p.v
・プロフィール
低音、ノイズばかりです。
・講座感想
色んなヒントがもらえる貴重な時間を過ごせる貴重な場です。

★平野敏久
・プロフィール
http://www.myspace.com/hiranotoshihisa
・講座感想
もう少し頑張ります。

★シミズヒロシ
・プロフィール
CONGA..Djembe.Cajon. 民族楽器やドラム・セット、WAVE DRUM.Hand Sonic、+エフェクター、おもちゃやガラクタを用いて主に叩いて演奏、制作をする人。
我流であるが故、独自のリズムの捉え方で世界や音と関わり咀嚼し続けている。
OMI、木島サウンドシステム、近藤等則&K.K.P.ORCHESTRA、Fusik、ECHOSTICS+、TokyoHomerunCenter、mumrlot などで活動。
ソロでは様々な音楽家と共演、舞踏、ダンス、映像など分野を選ばずコラボレーションをしている。

★大城真
・プロフィール
1978年、沖縄県生まれ。
ビデオカメラ、CDプレイヤー等の電子機器か、鉄板や塩ビパイプなど様々な素材をもとに制作した演奏・作曲のための楽器や道具を使ったライブパフォーママンス、またそれと平行して音/物体の振動と光の干渉に焦点をあてたインスタレーション作品の制作等を行っている。現在は坂本拓也、中村修とのaudio/visualユニットanalogic、虹釜太郎、土川藍との1080°でも活動中。

★henna dress/ 変なドレス
・プロフィール
ガジェット系ライブエレクトロニクス式・電子音楽演奏家
児童期に”おしゃれなテレコ”を用いてテープ遊びを始める、おそらく今もその延長線上かと思われる。
任天堂ポケットカメラにてゲームボーイを使用した音制作に目覚め以降、ゲームボーイ音楽歴は10年余、ライブ歴は2年程、ちなみに落書き関係のほうもちょぼちょぼと活動中
ソロ以外の音楽活動は
アリゾナ州のAgoostusとの共同制作『HA prjct』
サム・ベネット、いとうはるなとのトリオ『セロリーマン』
Lo-Fi GRINDCOREバンド実験中『グラインダー・ミーメちゃん』
それと、トーマスとの謎チーム『へんとーます』
他ではニューヨークの芸術家やスペインの映像作家エトセトラとなんかを準備中ぽい。
初夏ぐらいに韓国でsighborggg主宰のパーティに参加、観光がてらにソウルテグプサンの3都市をツアー予定。
現在、西麻布bul-let’sにてレギュラーパーティを開催中、
『うさぎべや(lab bit room)』、3月28日(土曜日)最終回。
http://www.myspace.com/hennadress
http://labbit.web.fc2.com/
・講座感想
自分でこさえた発振機の音が鳴ったときは感動しました・・/
しかし制作時間より喋り時間が我ながら長いので反省6・・;
ともあれ落ちこぼれぬようこれからもがんばりたいです・・9

★田辺弘昌
・プロフィール
今回初めて作品発表 「物質と運動そして観測について」考察し、制作のプロセスに入ろうとしています。
・講座感想
電子回路で音を扱う講座は何処にもないだろう。様々な人がいる。此処に来てビール飲んで帰っても良しという感じがまた良し。

★西原尚
・プロフィール
1976生。音色の研究、鳴り物製作、踊りの音楽、能管、狂言、そして電気工作に夢中!
・講座感想
電気工作は取っ掛かりが難しいけど、鈴木さんの教室はそんな壁を取り払ってくれます。質問できるのも嬉しいです!

★小林 寿代(KOBAYASHI Hisayo)
・プロフィール
大学の卒業制作をきっかけに、はんだごてを握り始めました。
ふだん気にしないような物事に電気をとおして、見たり聴いたり触ったり、違う形に変換することに興味があります。
好きな工具はラジオペンチです。
・講座感想
何かやりたいことがあるとき、この講座なら電気をみっちり勉強せずとも、近道を見つけられそうな気がします。
鈴木さんの作品がいつもスゴイと思う。いろいろな方との出会いも相当楽しいです。

★田巻 真寛/Shinkan Tamaki
・プロフィール
フィルム作家。作品は主にサイレントながら、視覚のみならず聴覚の拡張も試みている。また、フィルムの持つ物質性を最大限に抽出する手段として、現像も自らの手で行う。映画を作る、というよりはフィルムそのものを作っているのかもしれない。
https://shinkantamaki.net/
・講座感想
適度な放任と、受講生の適度なユルさが心地よいです。

ちなみに講師も出演
★鈴木學
・プロフィール
2000年よりエレクトロニクス技術を用いた自作楽器等の設計制作、それらを使った即興演奏などの活動を開始。今井和雄トリオ、RGBなどで活動中。アナログ発振器、デジタル発振器、マイコン、MIDI、無線機器、映像信号を応用した作品を制作。音楽家からの受託制作もおこなう。
http://www.geocities.jp/ijnsz/
・講座感想
受講者、ゼロでなくてよかった!

誕生

眠りに就くときに、NHKの「映像の世紀」をよく観るのですが、第1回目の映画が生まれた時代のところはいつ見ても興奮して眠れなくなります。

↑これは映画の父、リュミエール兄弟の「列車の到着」1895年
当時初めて見た観客たちは、迫ってくる列車に驚いたり、左に通過した列車がどこに消えたのか首を傾げたらしいです。(当然、オリジナルには音は入ってません)

screen sessionしてきました。

~screen sessions~ @loop-line

・田巻 真寛=16㎜フィルム(サイレント)
・オシロスコッティ=ブラウン管TV+自作電子楽器
・analogic project2=ビデオプオジェクター+ブラウン管TV+ビデオカメラ+ビデオミキサー+オーディオミキサー(構成が複雑で正確にはよく分りません、失敬)

3組それぞれ単独の出演だったけど、イベントとしては互いの持ち味を引き立たせる結果になったと思います。

作品の説明はしないようにしているのですが、作品の見方を限定しない程度に話しました。上映後ですが。
作り方
①晴れた日に、生フィルムをベランダに干す。
②現像液をぶっかけ、自然乾燥
③定着液をぶっかけ、自然乾燥
④雨で水洗、自然乾燥
基本的な姿勢として、フィルムの物質性をスクリーンに投影しようとしていることを付け加えました。フィルムの質感は十分出せたと思います。

このフィルムは何かをイメージして作ったものではないので、観る人によって全く違うイメージが見えたことは非常に良かった。

オシロスコッティさんは、電子楽器の音をブラウン管に入力していました。サイン波を出せば、画面にカーブを描いた波形が出て、それだけでもかなりオモシロスコッティでした。出す音と画面の動きがユニーク。ブラウン管のくっきりした画面もいい。最後の方はミニマルテクノでツボだった。

analogic project2は映像と音を相互にフィードバックさせる手法。素材のないところから、リアルタイムで音と映像が生成されていく過程はうらやましい。制御が難しいみたいです。フィードバックのモンスターみたいなのを辛うじて操っているところがいいです。奴はかなりの荒馬だとお見受けしました。

screen sessions

2009年03月07日(Sat.)
Loop-Line&大城真 共同企画
~screen sessions~

@Loop-Line 千駄ヶ谷
19:00 open / 19:30 start
1500円(+1drink)

出演
田巻 真寛/shinkan tamaki (16mm film)
https://shinkantamaki.net/

オシロスコッティ
2000 年ころより自作電子楽器を使った演奏活動を開始。ぬいぐるみや空き缶等に回路を無理やり押し込んだ強引さが最大の特徴。電子工作だけに飽き足らず、フォーミュラカー製作にも携わりレースに参加。鈍行列車好き。ケチャップ好き

analogic project 2(坂本拓也+中村修+大城真)
ミキサーの音声信号と映像信号のフィードバックにより聴覚と視覚が反転し相互干渉する現象をリアルタイムで加工するライブを行う。音と映像の境界線を曖昧にする。
project 2では、上記のフィードバックによる映像をブラウン管に映しビデオカメラを使って外部フィードバックし、それによって生まれた映像を音に変換する。さらにその音声信号をオーディオミキサーとビデオミキサーのフィードバックに組み込み、すべてが相互干渉する。

補足

期待寿命
米国・ロチェスターの画像保存研究所によるデータ。
さまざまな保管環境のもとでのフィルムの期待寿命を示したもの。
左側の数字が新しいフィルムの寿命であり,右側の数字は劣化が始まっているフィルムの寿命。
結局、家庭で長期保存するなら冷凍庫に入れろということか。
出し入れするときに慣らしが必要になる。

寿命の話

各メディアの予測寿命
各メディアの予測寿命
CDやDVDは登場時、半永久的に保存可能と謳われていたらしい。
私も小学生の頃はそう思っていたが、よく考えれば物質でできている以上それはない。現在メーカーが公表している期待寿命は20~30年位のようだ。もちろん、適切な環境で保存した場合の話。

高温には弱いので、車のダッシュボードはNG。また、製品によっても寿命に差がある。
私が買った東南アジア製の安いCD-Rは、1年で記録面が剥がれたこともある。(50枚入りのスピンドルケースに一般の家庭環境で保存)セオ・パリッシュのmixCDは剥がれ易いという噂を聞いた。

ちなみに、市販のソフトと自分で焼いたものでも差が出る。
市販の映画DVDや音楽CDは、物理的なプレスによって凹凸をつけて記録されている。DVD-RやCD-Rは記録層の有機色素をレーザー光で変化させ記録している。
したがって、市販ソフトの方がデータの耐久性はある。
定期的に複数のバックアップを取るのがいいだろう。

もちろん、ハードディスクにも寿命があるので、ハードに入れっぱなしはNG。
デジタルデータの複製は、まともにやれば劣化しないし安価で容易だ。
フィルムの複製は金がかかる。

私のように上映作品がネガという場合、複製は更に金がかかり画質も劣化する。
だから、オリジナルを大切にしようと思う。画家の心境には及ばないけれども。
気持ちだけでなく、適切な保存の為の知識も必要。

フィルムの劣化

何にでも当てはまることだが、保存環境は大事である。
フィルムは低温低湿で保存するのが大原則。

いい加減に扱うとどうなるか?
・カビの付着
・変色、退色
・膜面の接着
・ひび割れ、収縮
など、画質に大きく影響が及んでくる。
映画用フィルムの場合は映写が不可能になる可能性も。

「ビネガーシンドローム」

かっこいい名前だがこれが実に厄介だ。
撮影用フィルムに多く使われている、TACベース(アセテート)に特有の症状。
名前のとおり、酸っぱい臭いがする。高温多湿の環境下で加水分解が始まり、一度酢酸臭が出ると進行を止めることができない。ベースは大きく収縮・変形し、最終的にはゼラチンが溶けて画像が消失する。自己壊滅的である。さらに悪い事に、他のフィルムに感染する。もし症状が出たら、そのフィルムは隔離しないといけない。冷凍用のジッパーに詰め、吸湿・吸酸剤を入れておけば、進行を緩やかに出来るようだ。ちなみに乾燥しすぎるのも良くない。ひび割れや収縮の原因になる。

キープウェル(FUJIフィルムの吸湿剤)は適度な湿度を保ち、酸も吸収するので間違いない。どうしようもなくなる前に複製やビデオ化の検討も必要。

ここまで書くと、フィルムは面倒なやつだと思われるかもしれない。しかし、きちんと保存されたフィルムは、画質は完璧でないものの100年以上使用できる可能性がある。
では、デジタル記録媒体はどうか?